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皮膚に直接ふれたものの刺激、あるいはアレルギーによって生じる皮膚の炎症・湿疹を接触皮膚炎といいいます。一般的に言う「かぶれ」のことです。通常、原因のものが触れたところが赤くなったり、ぶつぶつができたり、ひどいときには水ぶくれができたりします。
原因のものが触れていないところはかぶれないので、例えば湿布にかぶれた時は長方形の形に、ネックレスの金属にかぶれた時は首のまわりが赤くなります。
かぶれの原因がはっきりしない場合は、パッチテストを行うことがあります。パッチテストは原因と疑われる物質を皮膚にはりつけて反応を見る検査です。かぶれの原因物質がわかったら、その物質に触れないよう気を付ける必要があります。
皮膚科で最も多くみられる疾患といっても過言ではありません。湿疹は、皮膚に起こる炎症の総称で、皮膚炎とも呼ばれています。このうち、「しっぷんかぶれ」や「おむつかぶれ」というように、明らかな原因があってそれが皮膚に直接触れてできる湿疹を接触皮膚炎(上述)と呼びます。
湿疹の見た目はバラエティに富んでおり、紅班(赤み)、丘疹(ぶつぶつ)、小水疱(小さい水ぶくれ)、湿潤(じゅんじゅく)、痂疲(かさぶた)、落せつ(かさかさ)、などさまざまですが、ほとんどの場合かゆみを伴います。かくことで湿疹が悪化しさらにかゆくなるなど、悪循環に陥り慢性化や重症化を招くおそれがあります。また、かくことで皮膚が傷ついて化膿することもありますので、かかないことが大切です。しかし、かゆみを我慢するのはたいへんなことです。多くの方が「湿疹は掻くと悪くなる」ということはご存じなのですが、それでも掻いてしまうのです。「かいちゃダメ。かゆいのくらい我慢しなさい。」と言われるのは「痛いのを我慢しなさい。」と言われるのと同じくらい酷なことですので、もし周囲にかゆみでお困りの方がおられましたら、「たかが湿疹」と思わず、早めに皮膚科を受診させてあげてください。かゆみや炎症を抑える薬を上手に使って、悪循環を断ち切り、湿疹を速やかに治しましょう。
ことらも皮膚科ではよくお目にかかる疾患です。いわゆる「みずむし」です。白癬症とは白癬菌による皮膚感染症の総称です。
皮膚科の診察では、幹部の皮膚や爪の一部を顕微鏡で検鏡して白癬菌の有無を調べます。外来で顕微鏡をのぞいていると、よく患者様に「(みずむしが)動いてるんですか?」と聞かれます。「みず”むし”」という名前から「動く虫」のようなイメージをもたれているのかもしれませんが、実は白癬菌はカビの一種です。皮膚科医は顕微鏡で、動く菌を探しているのではなく、カビの菌糸を探しています。
白癬菌はケラチンというタンパクを栄養源に生きていますので、ケラチンが多く存在する場所であればどこにでも感染します。ケラチンが多く存在する場所は皮膚の角層(最も表面にある層です。つまり、白癬菌は皮膚のあるところならどこでも感染します。また角層が変化したものが、毛や爪ですので、毛や爪に白癬菌が感染することもあります。治療は、白癬菌の感染している部位やその状態に応じて、塗り薬や飲み薬を使います。
白癬症の見た目は、ひととおりではありません。皮膚が白くふやけたような状態になったり、小水疱(小さい水ぶくれ)ができたり、紅班(赤み)、落せつ(かさかさ)など、こちらの湿疹と同様にバラエティに富んでいます。したがって、見た目だけでは湿疹か白癬症かを判断するのはとても難しいのです。そのため、皮膚科では白癬を疑った場合は顕微鏡で検鏡して、きちんと診断をつけています。間違えて湿疹の薬を塗ると白癬症は悪化してしまいますので、ご自分で判断せず、まずは何も塗らないで皮膚科を受診されることおすすめします。
アトピー性皮膚炎は、痒みを伴い慢性的に経過する湿疹、乾燥を特徴としますが、その根本には皮膚のバリアー機能異常があり、そこへ様々な刺激やアレルギー反応が加わって生じると考えられています。ぜんそく、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のある家系にでやすい傾向があります。「アトピー性皮膚炎=(湿疹ができやすい遺伝的体質)+(内的・外的な悪化要因)」と考えると分かりやすいかもしれません。”湿疹ができやすい遺伝的体質”は現代の医学をもってしても、変えることは困難です。したがって、医療がアプローチするのは、”内的・外的な悪化要因”です。「掻く」ことも主要な悪化要因ですので、適切な治療によりかゆみを抑える必要があります。また、肌にいいと思って使っている化粧品などにかぶれて、かえって悪化させている場合もありますので、問診や皮膚の見た目から「かぶれ」が疑われる場合はパッチテスト(かぶれの原因と疑われる物質を皮膚にはりつけて反応をみる検査)で確認することもあります。
治療は塗り薬にステロイド剤・免疫抑制剤を中心に、抗アレルギー剤、保湿剤なども用います。慢性の疾患ではありますが、適切な治療により症状がコントロールされた状態に維持されると、自然溶解も期待される疾患です。まずは、皮膚科で適切な治療をうけ、アトピーで日常生活や仕事・勉強に支障をきたすことのないよう、症状をコントロールしていきましょう。
ニキビは「青春のシンボル」とも言われ、思春期から青年期にかけてよく見られる身近な疾患ですが、あまり「病気」という認識がされていないためか、受診される方が少ないのが現状です。
普通のニキビでは、熱が出たり体がしんどくなったりということはありませんが、思春期の数年間にわたり、しかも顔面に症状が続くため、年頃の若者にとって心理的な影響が大きいことは容易に想像がつくでしょう。ニキビのために消極的になったり、落ち込んで学校に行けなくなったりすることもあります。また、ニキビを悪化させると治すことのできない痕(あと)が残ることがあります。
ニキビの治療では、アダパレンや過酸化ベンゾイルといった毛穴の詰まりに効果があり、ニキビをできにくくする薬と、アクネ菌や炎症に有効な抗生物質の塗り薬・飲み薬を用います。
ニキビは「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」というれっきとした皮膚の病気です。ニキビ痕を未然に防ぎ、ニキビによる心理的な影響を減らすために、できるだけ早期に治療を開始し、良い状態を維持することが大切です。まずは皮膚科にご相談ください。
じんましんは皮膚科ではよくお目にかかる病気です。突然、皮膚の一部が赤く盛り上がり(膨疹)、しばらくすると跡を残さず消えてしまう病気です。たいていはかゆみを伴いますが、チクチクとしたかゆみに似た感じや焼けるような感じを伴うこともあります。赤いぶつぶつは数十分から数時間以内に消えるのが普通ですが、中には1日くらい続くものもあります。
じんましんで受診される多くの方が「原因はなんでしょうか?食べ物ですか?」とおっしゃいます。確かにじんましんの中には特定の食品や、寒冷・機械的刺激のような特定のきっかけがあった時にだけ現れるタイプのものもありますが、多くのじんましんは何回も、特定の理由なく症状が出没します。最初の症状が出始めてから1ヶ月以内のものを急性蕁麻疹と呼びます。
慢性蕁麻疹では、ほとんどの場合は原因を明らかにすることができませんが、数カ月ないし数年間か症状が続いた後、ほとんどの場合はやがておさまっていきます。ただ、何カ月・何年もかゆみやぶつぶつに悩まされるのはたいへんつらいことですので、皮膚科で適切な治療をうけることをおすすめします。
じんましんの治療の第1は、まず原因・悪化因子がないかを探し、あればそれらを取り除く、または避けるようにすることです。第2は飲み薬の抗ヒスタミン薬または抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬です。
どちらも、皮膚の一部が慢性の刺激・荷重を受けて角質層(皮膚の一番外側の層)が厚くなる病気です。
ウオノメは直径5〜7mmほどの硬い皮膚病変で、歩行や圧迫により痛みを伴います。中心に魚の目のような芯が見えるので俗に「ウオノメ」と呼ばれますが、面白いことに専門用語では「鶏眼(けいがん)」と言います。ウオノメとまぎらましいものに、足底疣贅(そくていゆうぜい)というイボがあります。イボはウイルス性の腫瘍であり、知らずに削って、かえって患部を広げてしまうことがりますので、この鑑別をきちんとつけるためにも、皮膚科への受診をおすすめします。
タコは刺激や荷重を受けた辺りの皮膚が全体に少し黄色味を帯びて、厚く硬くなって盛り上がります。ウオノメがふつう足の裏にできるのに較べて、タコは足の裏以外にも、その人の生活習慣・職業・癖などにより、身体のあちこちにできます。たとえば、ペンをギュッと握る人には「ペンダコ」、指をよく吸う子供の指には「吸いダコ」ができます。
タコに痛みや赤みを伴う場合は、タコの下がキズになっていたり、細菌感染を起こしていたりする可能性がありますので、早めに皮膚科を受診してください。特に糖尿病の患者さんでは重症化しやすいので注意が必要です。
イボは人乳頭腫ウイルス(ヒトパピローマウイルス)による感染症です。子どもや子供と接する職業(保育士さんなど)の方の手足によくできます。イボの見た目は、表面がかさかさしており、ウオノメに似ています。小さい黒い点々を伴うこともあります。
外陰部にできるイボは、特に尖圭コンジローマと呼ばれ性感染症の一種です。尖圭コンジローマは先にギザギザとがっているのが特徴です。ニワトリのトサカやカリフラワーのような状態になることもあります。
イボの治療は、液体窒素凍結療法を行います。1〜2週間に一度くらいの治療で通常3〜5回で治ります。また、多発性の場合や難治性の場合にヨクイニン内服を行うこともあります。尖圭コンジローマの場合は、イミキモドという外用薬を用いることもあります。
ミズイボは伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)ウイルスによる、子供に多い皮膚の感染症です。ミズイボの見た目は、表面がつるっとしていて、みずっぽい光沢のある大きさ数mmから5mmくらいの小さな皮膚の盛り上がりで、てっぺんが少し凹んでいるのが特徴です。ミズイボは掻いてつぶれたり、掻かなくてもある程度の寿命で自然に脱落したりして、それがまた他の皮膚にくっついてその場所に感染し、次々と広がることが多いのです。1個できれば、その近くに数個増え、または引っ掻いた指で触ると遠くの皮膚にも感染し、次々と増えてきます。
治療は、数が少ないうちに摘み取るのが最も確実で早く治す方法です。先の小さなピンセットでミズイボをつまむと、てっぺんの凹んだ部分から小さな白い塊が出てきます。これが「ミズイボとり」と呼ばれるもっとも簡単で一般的な治療法です。イボと同じように液体窒素凍結療法を行うこともあります。いずれも有効な治療方法なのですが、多くは子供たちである患者さんに、痛みや精神的苦痛を強いる治療法であることが欠点です。10個までくらいならなんとか1回の治療で摘み取ることができます。しかし何十個となると、1回の治療ですべて取ることはできません。無理やり取ると、次からが絶対に容易に取らせてくれません。まず、次から医院に連れてくるのがひと苦労で、やっと連れてこられたとしても数人で押さえて処置しなければならず、お互いに汗まみれで大変な労力を要することになります。
健康な子供では、6ヶ月〜3年で自然治癒するとされていますが、個人差が大きくその患児がいつ治るかを予測することは困難です。特に、アトピー性皮膚炎の子どもは、いったん感染すると湿疹を掻くのと一緒に掻いてしまって、全身に無数に増えて広がりやすいのです。
子供のミズイボを取るべきか、放置すべきかについては、以前から議論になってきました。「いつか自然に治るだから、放ってよけばよい。」とおっしゃる先生も確かにおられます。しかし、その「いつか治る」の「いつか」は数か月後なのかもしれませんし、ひょっとしたら2年度、3年後かもしれないのです。やはり、数が少ないうちに見つけ次第早くとることが適切と思われます。
最終的にどのような方針でミズイボの治療をしていくかは、医師と保護者の考え方によって決まります。子どもたちは自分で治療法を選べません。大人たちが十分に話し合って、責任をもって治療方針や治療法を選択してあげる必要があります。まずは皮膚科にご相談ください。
とびひは、皮膚科の正式な病名では「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」と言います。細菌による皮膚の感染症です。接触によってうつって、火事の火の粉が飛び火するようにあっという間に広がるため、たとえて「とびひ」と言います。
虫刺され、湿疹、あせもなどをひっかいたり、転んでできた傷に細菌がつくなどして、とびひになります。また、鼻のあなの入り口には様々な細菌が常在しているため、小さいお子さんで鼻をさわるくせがあると、鼻の周囲からとびひが始まることがあります。
とびひの見た目は、水疱(水ぶくれ)やびらん(皮膚がめくれたところ)、膿疱(膿がたまった水ぶくれ)、かさぶたなどです。
とびひの治療は抗生物質です。ごく軽症の場合は外用剤だけで済むこともありますが、通常は内服を併用します。また痒みを伴う場合は、抗ヒスタミン薬も併用してかきむしらないよう、病変が広がらないようにします。
とびひの予防は、手洗いの励行や、爪を短くしておくこと、かきむしって皮膚を傷つけたりしないようにさせることが大切です。兄弟や家族への感染を防ぐため、ほかの人とタオルを共用しないようにしてください。
プールや水泳については、自分の病変を悪化させたり、他人にうつす恐れがありますので、完全に治るまでは禁止です。
単純ヘルペスウイルスによる感染症です。体のどこでも感染する可能性がありますが、頻度的に多いのは口唇ヘルペス、性器ヘルペス、顔面ヘルペスなどです。単純ヘルペスの見た目は、皮膚や粘膜部にチクチクした痛みを伴った小水疱(水ぶくれ)やびらん(皮のめくれたところ)を生じるのが特徴です。初感染は、ウイルスに対して免疫を持っていないために、高熱などの全身症状を伴い、ひどい症状になることがあります。
単純ヘルペスの治療としては、抗ウイルス剤の内服・外用を行いますが、早めに治療を開始するのが大切です。発疹の出る前にチクチクするなどの予兆が出ることが多く、その時点で内服を始めるか、発疹が出てすぐの段階で内服を始めると、あまりひどくならず治りが早くなります。
ただし、いったん治っても、単純ヘルペスウイルスは神経節に入って潜伏するため、薬で完全にウイルスを取り除くことはできません。寝不足や疲れなどによって免疫力が下がると再発します。
水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症です。(11)の単純ヘルペスウイルスと同じ、ヘルペスウイルス科ですので、こちらも「ヘルペス」と言われることがあります。
多くの方は子供時に初めての感染を経験されます。初感染では水痘(みずぼうそう)の状態になり、全身に赤い発疹や小水疱(小さい水ぶくれ)がでます。みずぼうそうが治ると、水痘・帯状疱疹ウイルスが完全にいなくなるのではなく、神経節に潜伏するといわれています。何年〜何十年のちに、神経節内に潜伏していたウイルスが何かのきっかけで再活性化して発症するのが帯状疱疹です。再活性化するきっかけとしては、免疫機能の低下(免疫抑制剤の内服、悪性腫瘍の合併など)、手術、放射線照射などがあげられますが、健康な人でも疲れて体が弱っているときに発症することがあります。
帯状疱疹の見た目は、赤い発疹や水疱(水ぶくれ)が神経の走行に沿って身体の片方だけに帯状に出現するのが特徴です。頭、顔、上肢、下肢、体幹などどこでも出来る可能性があります。発疹がでる数日前くらいからチクチクした痛みや違和感がでることが多いです年齢が若いからといって軽症ですむとはかぎらず、その患者の抵抗力により重症度が決定されます。初期に軽症であっても、無理をすると重症化する疾患です。痛みを伴うことが多いですが、個人差があり、「全然痛くない」とおっしゃる方もいれば、「夜も寝られないほど痛い」おっしゃる方もおられます。
帯状疱疹の治療は、抗ウイルス薬の全身投与をできるだけ早期に開始することが大切です。重症の場合(顔面にできている、発疹が広範囲など)は、入院して抗ウイルス薬の点滴が必要な場合もあります。
通常は2週間ほどでかさぶたになり、3週間ほどでかさぶたが脱落して治癒しますが、一部の症例では皮疹が治癒した後にも痛みが残り、年余にわたって疼痛が続く場合があります。これを帯状疱疹後神経痛といいます。こちらもかなり個人差がありますが、60歳以上の高齢者や皮疹が重症な方ほど痛みが残りやすいといわれています。痛みを残さないためにも発症初期の段階で抗ウイルス薬を開始することが大切です。
多くの場合、寝たきりの状態が最初の引き金となります。普通は、眠っている間には無意識のうちに寝返りを打ちますし、長時間椅子に座っている時は無意識にお尻を移動して同じところに長時間の圧迫が加わらないようにしています。このような動作を「体位変換」と呼びますが、寝たきりになり自分自身で体位変換できない人に床ずれはできやすくなります。同じ姿勢で長時間寝たり座ったりすることで、ある特定の場所が長時間圧迫を受け、皮膚や皮膚の下の脂肪組織、筋肉などの血液の循環が悪くなり、その組織が壊死する状態を床ずれといいます。
骨が突起している場所は圧力が集中するため、床ずれができやすくなります。寝たきりの方の仙骨部、大転子部(腰骨の横の出っ張り)、かかと等ができやすい部位です。
床ずれの発生には、圧迫されている場所の皮膚の状態、体圧分散寝具の使用の有無や体位変換など介護の状態、その人の栄養状態が大きく影響します。
床ずれとひとくちに言っても、初期のものから重症のものまで程度がいろいろあり、その見た目も重症度によってかなり異なります。床ずれの初期のものは、皮膚に赤みがあるだけでキズにはなっていませんが、進行すると皮膚が壊死してキズになります。傷の深さは重症になればなるほど深くなります。非常に重症の床ずれでは骨が見えるほどキズが深いこともあります。また、床ずれに細菌感染を合併すると、傷から膿や悪臭がでたり、さらに熱がでるなど全身に影響が及ぶこともあります。
床ずれの治療には、除圧(圧迫をとりのぞくこと)、キズの手当て、栄養状態の改善など、多角的に取り組む必要があります。細菌感染を合併しているときは抗生物質の投与も必要です。また、壊死した組織を取り除くのに外科的な処置が必要となる場合もあります。
大事なことはできるだけ早く床ずれに気付き、早い段階で皮膚科に相談していただくことです。重症になればなるほど、治癒するのに時間がかかります。
床ずれは、急に歩けなくなって寝たきりになった方や、食事が十分とれず栄養状態の悪い方に起きやすく、更に元々の持病が悪くなったタイミングで発生することが多いです。つまり、「体の具合がわるい」=「床ずれが起きやすい」と考えてください。
「床ずれかな?」と思ったら、どうぞ早めに皮膚科にご相談ください。
多汗症とは、文字通り「汗が多い」症候群ですが、全身の汗が増える「全身性多汗症」と、体の一部に汗が増える「局所多汗症」があります。全身性多汗症には特に原因のない原発性と、感染症や内科的な病気に合併するものがあります。局所多汗症も原因のわからない原発性と、外傷や腫瘍などによる神経障害が原因で起こるものがります。
原発性局所多汗症は手のひら、足の裏やわきの下という限局した部位から両側に過剰な発汗を認める病気です。汗の多い部位の名前を頭につけて、例えば掌に汗が多い場合を「手掌多汗症【しゅしょうたかんしょう】」、手のひらと足の裏の両方に汗が多い場合を「掌蹠多汗症【しょうせきたかんしょう】」、わきの下に汗が多い場合を「腋窩多汗症【えきかたかんしょう】」といいます。当院では、原発性局所多汗症(特に、手のひら・足の裏・わきの下)の相談・治療を行っています。
幼少期ないし思春期ころに発症することが多く、手のひら、足の裏は精神的な緊張により多量の発汗がみられます。ご家族にも同様の症状を持つ方がいらっしゃることがあります。手、足は絶えず湿っていて指先が冷たく、紫色調を帯びていることがあります。症状が重い場合は、特にしずくがしたたり落ちるほどの発汗がみられます。昼間は汗が多いですが、睡眠中の発汗は停止します。
腋窩(わきの下)多汗症は精神的緊張や加熱刺激によって左右対称性に脇の下に多汗がみられ、下着やシャツにシミが出来るほどです。腋窩の多汗に、手足の多汗も伴っていることがあります。
汗で特にお困りでない方は、汗が多いくらいどうってことない。」「ただの汗っかきじゃないか。」と思われるかもしれませんが、過度の発汗は日常生活に支障をきたすものです。
手掌多汗症の学生さんの場合は、「テストの時に汗で鉛筆がすべってうまく書けない。」「テストの用紙が汗で濡れてヨレヨレになる。」といったことがあります。小さいお子さんでしたら、「お友達と手をつなげない。」「ピアノの発表会で、汗で鍵盤がぬれてすべる。」などといったことがあります。腋窩多汗症の場合は、「汗の臭いが気になる。」「汗ジミが目立つグレーの服が着られない。」などといったことがあります。
多汗症はとても珍しい病気と思われているかもしれませんが、平成21年度の全国疫学調査では、原発性手掌多汗症の有病率は人口の約5.3%と極めて高い割合であることがわかりました。さらにそのうち、医療機関へかかる割合は1割以下である事から、治療されていない患者さんが多いという事もわかりました。おそらく多くの方が、「多汗症」という病気を認知されていなかったり、治療法があるのをご存じなかったりして、ご本人も周囲の方も「汗っかきだからしょうがない。」となかば諦めていらっしゃるのではないかと思います。手足やわきの汗でお困りの方、まずは皮膚科にご相談ください。
治療には、汗が多い部位により、いくつか選択肢があります。当院では、塩化アルミニウムローション*の単純外用・密封療法、イオントフォレーシス療法、ボツリヌス局所療法はわきの下の多汗症に行っています。
また、手のひらの多汗症のみ、上述した他の治療法で効果がない場合に、胸部交感神経節切除術という外科的手術の適応があります。この手術は当院から近い草津総合病院の呼吸器外科で行っていますので、もしご相談をご希望される場合は当院からご紹介いたします。
(*塩化アルミニウムローションは現在保険診療に適用のある外用薬がありませんので、自費での処方になります。)
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