レジオネラ症について       [新版レジオネラ症防止指針抜粋]

 

レジオネラ属菌レジオネラ属菌は、自然界の土壌と淡水に生息するグラム陰性の桿菌であり、菌体の一端に1本の鞭毛があり、運動性である。
一般に20〜50℃で繁殖し、36℃前後で最もよく繁殖する。
レジオネラ属菌はアメーバなどの原生動物の体内で増殖するため、これらの生物が生息する生物膜(バイオフィルム)の内部にレジオネラ属菌が保護されている。

  1. レジオネラ症
    レジオネラ属菌の感染によりおこる疾患であり、レジオネラ肺炎と肺炎にならない自然治癒型のポンティアック熱の2つの病型がある。
    なお、レジオネラ症は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」において四類感染症に指定され、患者をレジオネラ症と診断したすべての医師は診断後7日以内に患者の年齢、性別、病状、診断法等について最寄りの保健所へ届け出なければならないこととなっている。
  2. レジオネラ症の感染源
    これまでに給水・給湯設備、冷却塔水、循環式浴槽、加湿器、水景施設、蓄熱槽等からの感染が報告されている。
  3. レジオネラ症の感染経路
    汚染水のエアロゾルの吸入のほか、汚染水の吸引、嚥下・経口感染等が考えられる。

レジオネラ属菌検査の勧め

レジオネラ菌は、人工環境中の自然生活菌であり健常人ではさほど問題にはならない。しかし、老人あるいは新生児など免疫力の少ないヒトへの感染が問題となる。感染経路は、主としてこの菌を含む水等のエアゾルや土埃を吸引し、または、汚染水に溺れてこれらを吸入及び誤嚥した場合に起こる。
従って、レジオネラ属菌に汚染された循環浴槽水、シャワー、ホテルのロビーの噴水のエアゾル吸入、浴槽内で溺れて汚染水を呼吸器に吸い込んだ時などに感染・発症した事例が報告されていることから、これらを管理することが必要である。

 

レジオネラ属菌が検出された時の対応

1.浴槽水、シャワー水など直接吸引する恐れのあるもの
 レジオネラ属菌数の目標値を10CFU/100ml未満とし、レジオネラ菌属が検出された場合には直ちに清掃、消毒等の対策を行う。
 対策実施後は、検出菌数が検出限界(10CFU/100ml未満)以下である事を確認する。

2.人工環境水など直接吸引する可能性が低いもの
 102CFU/100ml以上のレジオネラ属菌が検出された場合には、直ちに菌数を減少させるため、清掃、消毒等の対策を行う。
 対策実施後は、検出限界以下である事を確認する。

 

レジオネラ防止対策

1.循環式浴槽の場合
 ・浴槽水の遊離残留塩素濃度を0.2〜0.4mg/Lを1日2時間以上保つ。
 ・浴槽の換水は、衛生管理の水準を保つよう定期的に行う。
 ・浴槽の全換水を行う場合は、塩素剤による洗浄・消毒を行った後、浴槽の清掃を実施する。
 ・レジオネラ属菌の検査を定期的に実施する。

2.冷却水の場合
 ・レジオネラ属菌殺菌剤の注入
 ・冷却塔の定期的な洗浄
 ・スケール防止、腐食防止、スライム防止のための薬剤注入
 ・レジオネラ属菌の検査を定期的に実施する。

 

採水容器と採り方について

検査には2種類で一組必要です。2種類とも水をいっぱい入れて下さい。

容器大: 500又は1,000ml用容器(細菌検査以外の検査項目に使用します)
容器小: 100ml用容器(細菌検査に使用します)
※容器小には顆粒(脱塩素剤)が入っています。そのまま採水し、良く混和してください。

予約検査ですので、事前に当社インフォメーションまでご連絡下さい。

 

参考資料・引用文献

1)厚生省レジオネラ肺炎診断基準と診断・検査及び治療指針 :厚生省レジオネラ症研究班
2)レジオネラ属菌防除指針 :全国旅館環境衛生同業組合連合会
3)レジオネラ症防止指針 :財団法人ビル管理教育センター
4)Legionella の分離と同定 :中浜 力 他(検査と技術 vol.17 no.7 1989.6)
 


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